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見上げてみると綺麗なだけでなく迫力もあります | どの角度から見ても綺麗な機体ですね |
<コメント>
イギリス機と言えば、不恰好・駄作・どん判誰得なのが通り相場ですが、突然変異的に綺麗で高性能な機体が生まれる事が
あります。WW2までで言えばスピットファイア・モスキートがそうですし、戦後の機体ならTSR.2がその筆頭でしょう。
ただ、残念ながら、前者2機は傑作機として歴史に名を刻んだのに対し、TSR.2は試作機のまま歴史に埋もれる事になりました。
元々TSR.2は、1956年キャンベラの後継機を求めたRAF の超音速侵攻偵察攻撃機計画 OR.339により開発が始まったもので、
要求された性能は、全天候性能をはじめ、不整地からの短距離離着陸 (STOL) ・超音速低空侵攻・1,850 km以上の航続距離・
核兵器搭載可能という過大なものでした。
過酷な要求を克服するために数々の新機軸を用いたため、開発は難航し開発費も当初の予算を超過してしまい、試験飛行で
良好な性能を示したものの、予算の超過を非難する労働党が政権の座に着いて開発は中止されてしまい、試作機の飛行も禁止と
なり、開発研究機材は全て廃棄されてしまいました。ちなみに、この計画中止に到るプロセスには不明な点が多く、色々な陰謀説が
存在しているとのこと。
高性能にもかかわらず、政治の横槍で開発中止などという悲運に見舞われた訳で、機体の美しさと相まって飛行機マニアには
ロマンを感じさせる機体となったわけですが、改めて見ると本当に勿体無いの一言に尽きます。後継選びでグダグダした挙句、
バッカニアを導入せざるを得なくなった事を知ると、余計にそう思います。(いや、バッカニア自体は大好きな機体なのですが)
そう言えば、XB−70バルキリーも白くて美しくて悲運の機体でした。白くて美しい機体は悲運に見舞われるっていうジンクスでも
あるんですかねぇ?
<キットについて>
ピットロードの空物最新作です。金型・生産はトランペッターでしょうか? まあ、出来が良ければどこでも文句はありません。
キットの雰囲気は良好で、TSR.2の美しい姿をよく再現していると思います。部品精度も良好でサクサクと組み立てていけます。
ただ、インテークから胴体側面を一体としたパーツの合わせはちょっとトリッキーで、組むのに少々コツが要ります。別部品の
インテークコーンを胴体側面に接着して、それが乾かない内にこのパーツを後ろ側からはめ込み、最後にコーンと主翼付け根の
合わせ部分を、プラの弾性を利用してパチンと音がするまではめ込んでやらないと合いません。パーツを割りそうでちょっと勇気が
要ります。後、ノーズコーンと胴体との接着面に段差が出ますので、削ってやる必要があります。
そこをクリアすれば他は問題無く組めますが、例によって極楽鳥モデルとしたので、実機通りに3分割されている主脚カバーの
接着には少々手間取りました。合いは良いのですが、カバー同士をピッタリ合わせるのはなかなか難しいです。出来れば一体の
パーツを用意して貰えれば嬉しかったのですが、まあそれは贅沢の言い過ぎかも。ちなみにこのキット、有難い事にちゃんと
パイロットが用意されていて、極楽鳥状態にするのにゴーストライダー状態にせずに済みました。尤も、それで安心したのか、
ナビ席の方には入れ忘れてしまっています。^^; まあ、覗き込まねば判らないので良しとしましょう。
尚、機首先端のピトー管ですが、例によって取り回しの最中に落として折る→パーツ紛失のコンボを喰らいましたので、0.3mmの
真鍮線に交換してあります。
デカールは薄くてニスも少なく糊が強いとなかなか宜しいのですが、代わりに硬めで脆いです。台紙上で無理に動かそうとすると
割れますので、いつもよりじっくり待って、無理なく動くようになってから作業するのが吉です。デカールフィットの効きも弱いようですが
クリア耐性は良好でした。
塗装は、隠蔽力が高いGXカラーのホワイトを使用。エレベーター前や翼下面に入るツヤ消し黒は、はみ出し修正が楽なように
エナメルを使いました。デカールが乾いてからモデラーズとツヤ消しクリアーを吹いたのですが、カンが狂って少々吹き過ぎ、翼端に
ダマが出来てしまい、乾燥後に削り落として再度白を吹きクリアを吹くという、二度手間になりました。
スミ入れは、黒だとキツイと思い、シャーマングレーにブラウンを入れたもので薄目に行い、試作機なので汚れが無いように、
何時もより丁寧に拭きとっています。
(実作業時間11時間)
今回の教訓:接着前にパーツのつけ忘れが無いか要注意のこと
18.DEC.10